国民年金

なにかとお騒がせな国民年金。
「将来もらえるかもらえないか」はともかく加入が義務付けられているので、保険料を支払う必要があります。
サラリーマンを辞めて個人で事業を始めると、「日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人」が加入対象になる「第1号被保険者」になります。

2015年現在、国民年金第1号被保険者の1ヵ月当たりの保険料は15,590円です。

私自身が経験した実例からお話しすると、独立して2年間は全額免除でした。
これには、当時の私の家族構成(専業主婦の妻、子ども二人)が大きく関係していました。結婚しているか、子どもがいるかどうかで、年金の免除額は大きく変わってきます。
また、支払う保険料はゼロであるにもかかわらず、支払い期間としてカウントされ、将来の年金支給額も半額をくれるというのです。つまり、7,795円を払っているのと同じことになるのです。
これには随分助けられました。
3年目以降は、妻と離婚して独身になってしまいましたので、がんばって4分の1免除の資格を勝ち取りました(そのまま4人家族を続けていたら、全額免除だったと思います)。

以下、免除のシステムを簡単に説明します。
全額免除と一部免除では、計算の仕方が大きく異なりますので別々に説明しようと思います。結婚していない状態で全額免除の対象となるためには、かなり所得を抑えなくてはならず、実際には難しいと思います。月5万円でも手元に入ってきたら、もう無理です。月々1万円で生活するくらいの収入であれば、可能です。またはそこそこ収入があっても両親(兄弟)と一緒に暮らしていて、自分の稼ぎで両親(兄弟)を食べさしているのであれば、可能性はあります。

■全額免除の条件

(まずは日本年金機構のページから正式な文言を引用します)

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円


家族構成別に、具体的な数字にしてみます。

独身一人暮らしであれば、57万円以下。
専業主婦の奥さんと二人暮らしであれば、92万円以下。
私の場合のように、専業主婦の奥さんと子ども二人であれば、162万円以下。

注意すべきは、これが社会保険料控除額等を差し引く前の所得であることです。
社会保険料には、それこそ今まさに説明している年金や、これから説明する健康保険料、節税テクニックのひとつとして紹介する小規模企業共済で支払った金額が含まれます。
収入から必要経費を引いただけのシンプルな所得金額が、上記の設定金額を下回らなければならないということです。
※社会保険料について正確に知りたい方はこちらへどうぞ(国税庁のページです)


簡単に試算します。

事例1)フリーライターCさんの場合

雑誌とWEBに記事を書いているCさん。1本書くと、1万円~3万円程度(平均2万円)の報酬がもらえます。2014年は、平均して月に12本書きました。
毎月の報酬は2万円×12本で24万円。年間は24万円×12ヶ月で288万円でした。

この288万円が収入です。
所得を計算するためには、ここから経費を引かなくてはなりません。

事務所の家賃:3万円/月(自宅兼事務所として借りている部屋。部屋全体の賃料は8万円)
中古のMac book air:7万円(仕事用に購入)
交通費:3万円/月(主に都内を取材で移動)
交際費:5万円/月(編集者との打ち合わせ、打ち上げ、また取材先での飲食費もここに算入)
通信費:2万円/月(モバイルルーター、スマートフォンの通話料)
雑費:1万円/月(ボールペン、ノート、事務所で使うティッシュ等の日用品)
書籍費:3万円 /月(新聞、雑誌、単行本等、勉強用に)

おおよそこんなところでしょうか。
年間の経費の合計が、209万円。つまり、所得は77万円となります。
はい。これでは57万円以下の全額免除対象者とはなりませんね。
「でも77万円割る12ヶ月の6万4千円が月々自由に使えるんなら、つまり1日に約2000円使えるんなら、まぁ最低限の暮らしはできるんじゃない?」とお思いのあなた!ちょっと待ってください。
ここから引かれるものがまだあります。
所得税が5%で、4万2千円。年金、健康保険料、住民税が全部で年間約20万円。事務所経費として計上していない家賃が60万円。

計算式は、77万円-84万2千円=-7万2千円
差し引きは、あれ?7万2千円の赤字?
これでは、月々の自由になるお金は、まったく無いということになってしまいます。
ご飯を全部近所の実家(実家の近くで住んでいない人は餓死です。)で食べたとして、つまり、生活費が限りなくゼロに近くても、独身でやっている個人事業主の場合、年金の全額免除は難しいということです。
ちなみに、もしこのCさんが結婚していて、奥さんも食うや食わずやで、自分の服や下着は一切買わず、ご飯は全部もらいものか、近所の川原でつんできた野草のおひたしで、1年間頑張って暮らした場合、92万円以下の全額免除対象となり、翌年は年金がゼロになります。この年金がゼロという収入レベルは、自動的に住民税もゼロになるくらいの、言ってしまえば生活保護を受ける寸前のレベルの暮らしです。

なので結論としては、全額免除は難しいので、半額免除あたりを目指しましょう。ということです。



■一部免除の条件

ここでもまず、日本年金機構のページから正式な文言を引用します。

4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

※将来の支給額は5/8になります。

半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

※将来の支給額は6/8になります。

4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

※将来の支給額は7/8になります。


おっ!
さっきのフリーライターCさんは、所得が77万円だったので、「4分の3免除」ですね!
つまり、、、月々の支払いが15590円から3987円に減額!
しかも将来の年金は1/4ではなく、5/8になるだけ!
手続きはやや面倒な部分もありますが、市役所や区役所の年金課に行けば、丁寧に説明してくれます。収入が少ない場合、やらない手はありません。

そこそこ稼いでいても「4分の1免除」くらいなら何とかなると思います。
私は収入が400万前後のとき、この4分の1免除を勝ち取ることができました。
それには、全額免除では考慮されない「社会保険料控除額」が関係してきます。

たとえば4分の1免除の条件である「158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」ですが、独身の場合扶養親族控除は関係してきませんので、158万円と社会保険料控除額等の合計額が、所得を上回っていればいいわけです。
この社会保険控除額には、いま取り上げている年金や、健康保険料、小規模企業共済で支払った金額などが含まれます。
普通に暮らせているのであれば、年金、健康保険料を足しただけで10万円、人によっては20万円は超える額を支払っていると思います。
なので、158+20の178万円を所得が下回ればいいのです。
都民共済や市民共済などの保険料、自営業者の退職金制度と呼ばれる小規模企業共済などもすべて社会保険控除額に反映されるので、頑張れば半額免除くらいは目指せるのかもしれません。

ただ、何度も言うようですが、この減免制度は自分から申請しないと、適用されません。
月々の支払いが少なくなり、楽になるので、是非申請しましょう。

以上で国民年金に関しての説明を終わりたいと思います。

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